画像で見ると可愛いけど…… |
日本の陸上では一番強いとされる動物、それが熊です。
最近は北海道で熊関連のニュースが多くでていますが、過去にも多くの被害が出ています。
その中にはかつて日本で起きた熊害で史上最悪と言われている事件もありました。
多くの本やメディアで「熊害」取り上げられていますが、その内容はとても凄惨なものです。
今回はそんな熊害事件で有名なものを3つご紹介していきます。
エゾヒグマが繰り返し民家を襲撃 三毛別羆事件
イラストだとこんなに可愛いのにね…… |
三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)とは、1915年(大正4年)12月9日から12月14日にかけて、北海道苫前郡苫前村三毛別(現:苫前町三渓)六線沢で発生した熊害。三毛別事件や六線沢熊害事件(ろくせんさわゆうがいじけん)、苫前羆事件(とままえひぐまじけん)、苫前三毛別事件(とままえさんけべつじけん)とも呼ばれる[1][信頼性要検証]。日本史上最悪の熊害と評されることもある。
引用:三毛別羆事件 - Wikipedia |
最近発生しているの熊害に伴い、この事件について知っている方も多いのではないでしょうか。
狙われたのはこの土地を開拓しに来ていた開拓民。
当時は野生動物からの襲撃は日常茶飯事でしたが、事件発生前の11月、開拓民の一人が畑に残された大きな足跡を発見します。
この足跡は「穴持たず」という冬眠に失敗した熊によるもので、このような熊は飢えており、食料を探して人里に降りることも増えます。
同月末、そうして開拓地に降りてきた同じ熊に銃撃を加えるも仕留めるまでには至りませんでした。
結果としてこの熊が執拗に開拓地を襲撃するようになるのです。
数日に渡る襲撃 7人の方が犠牲に
足跡を見つけた翌月の12月、恐れていたことが起きてしまいます。
12月9日に最初の襲撃を受け、熊が絶命するまでに集落は合計3回の襲撃を受けます。
討伐隊が組織され軍も討伐に加わるなど、大規模な山狩りが行われました。
この事件は14日までの5日間続き、官民合わせて600人が投入されました。
使用された火器は60丁以上にのぼり規模の大きさが分かります。
最終的には包丁で熊を殺したという逸話を持つ猟師「山本兵吉」の放った銃弾により熊は命を絶たれました。
以下時系列でこの事件をまとめていきます。
12月9日
午前11時半ごろ 窓を破って民家に侵入し、中に居た2人を殺害。
内1人は襲撃した熊によって連れ去られる。
12月10日
捜索隊によりご遺体が奪還される。
襲撃の被害に遭われた方の通夜の最中に再度襲撃に遭う。
隣家に窓を破って侵入し、5人を殺害 3人が重傷を負う。
12月12日
警察の指揮により討伐隊が組織される。
被害者のご遺体を囮にする作戦が行われるが、失敗に終わる。
12月13日
日本軍第7師団に協力を要請し、30名ほどの将兵が討伐に参加。
避難済みの無人の集落で8軒ほどの住宅に侵入された形跡を確認。
12月14日
討伐隊とは別行動していた山本兵吉により熊が射殺される。
7人もの方が犠牲となったこの事件ですが、開拓により熊との活動範囲が重なってしまい、起きてしまったと考えられます。
他にも「野生動物は火を恐れる」という風説により焚火で熊を遠ざけようとしていましたが、むしろ興味を持って近づき、熊によって火を消されるなどの場面もあったようです。
山菜を採りに来た人が狙われた 十和利山熊襲撃事件
胸元の三日月がツキノワグマの目印です |
十和利山熊襲撃事件(とわりさん くましゅうげきじけん)とは、2016年 (平成28年) 5月から6月にかけて、秋田県鹿角市十和田大湯(とわだおおゆ)の十和利山山麓で発生した熊害。ツキノワグマがタケノコ採りや山菜採りに来ていた人を襲撃し合わせて4人が死亡、4人が重軽傷を負ったほか、5人がクマを撃退して無傷であった。
引用:十和利山熊襲撃事件 - Wikipedia |
熊の事件と聞くと北海道の印象が強いかもしれません。
しかし、この事件は本州で起こっており、日本史上3番目に被害の多かった熊害事件です。
記録に残っている物の中でも本州では最悪の事件と言えるでしょう。
三毛別羆事件とは違い、春から初夏にかけての期間に起こっています。
そのため冬眠に失敗した熊による事件ではありません。
そして三毛別羆事件との決定的な違いは複数のツキノワグマによる襲撃が確認されていることです。
これはとても恐ろしいことで、それだけ人間に慣れた熊が居るということになります。
いずれも山菜採りにきた人が狙われており、後述しますがその場所にも問題があったようです。
繰り返し襲撃をしたスーパーK 4人の方が犠牲に
事件後の調査で合計5頭の熊が食害に加わっていることが分かっています。
その中に「スーパーK」と呼ばれている雄熊がおり、4人のうち3人の犠牲者を襲撃したとされています。
また襲撃に加わった雌熊のうち1頭はスーパーKと親子関係にあると結論付けられました。
残りの3頭は別の母子の熊と考えられていますが、この母熊はまだ駆除されていません。
つまり人の味を覚えた熊がまだ生きており、新しい子と共にまた人間を襲うという可能性があります。
犠牲に遭われた方が偶然鉢合わせたのか、それとも熊が狩る目的で近づいたのかは分かりません。
もし後者であればそれは本当に恐ろしいことです。
以下時系列でこの事件をまとめていきます。
5月20日
タケノコを採っていた地元の男性が行方不明に。
同日女性がツキノワグマに腕を噛まれ、同行していた夫が反撃し熊は逃走。
5月21日
20日に行方不明になっていた男性のご遺体が発見される。
ご遺体には爪痕や噛み痕が多数みられた。
5月22日
最初の被害に遭われた男性と同じ場所の近くでタケノコ採りに来ていた男女が襲われる。
男性が「逃げろ」と叫んだため女性は逃げることができ、無事だった。
約6時間後、男性のご遺体が発見される。
現場周囲の6キロの林道を通行止めに。熊注意の看板が設置される。
5月25日
青森県十勝市から来ていた男性が行方不明になる。
5月26日
青森県おいらせ町から来ていた男性が襲われる。
尖らせた竹で反撃し、生還することに成功する。
5月29日
青森からタケノコ採りに来ていた女性が背後から襲われる。
軽傷を負うも、同行していた息子が反撃し生還する。
5月30日
25日に行方不明になっていた男性のご遺体が発見される。
死後数日経っているとみられ、熊にかじられるなどして損傷が激しい状態だった。
6月7日
十和田市から来ていた女性が行方不明になる。
6月10日
7日から行方不明にになっていた女性のご遺体が発見される。
その直後、猟友会によって雌熊が射殺される。
同日14時ごろ女性のご遺体発見現場から10メートルほどの場所でツキノワグマが射殺された。
6月13日
10日に射殺された熊が解剖され、人体の一部が見つかる。
6月15日
4名がクマに襲われ2時間対峙するも1人が負傷する。
6月30日
事件現場からキロ離れたところで男性がクマに襲われ頭部に重傷を負う。
これまでの事件に関係のない熊かと思われたが、後の調査で食害に参加した個体と判明。
約1ヵ月に渡って続いたこの事件ですが、現在調べて出てくる被害はこれだけです。
もしかすると確認されていないだけで、もっと被害は大きいのかもしれません。
いずれも襲われていたのはタケノコなどの山菜を目的に来ていた人たちでした。
初夏の熊は好んでタケノコを食べるため、熊との遭遇が多かったようです。
加えて現場周辺は熊の好物であるブナの実があることから熊が集中していたことが分かっています。
「熊が出るならタケノコを採りにいかなければいいのでは?」そうお考えになる方もいることでしょう。
地元住民はタケノコで収入を得ているご高齢の方も多く、この地域ではそれ以外に収入を得る方法もないのです。
楽しい登山が一転、クマの襲撃 福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件
もし熊に遭遇したら背を向かずに相手を見ながら後ずさってください |
福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件(ふくおかだいがくワンダーフォーゲルぶヒグマじけん)は、1970年(昭和45年)7月に北海道静内郡静内町(現・日高郡新ひだか町静内高見)の日高山脈カムイエクウチカウシ山で発生した獣害事件。
引用:福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件 - Wikipedia |
同好会で登山に来た人たちが襲われるというこの事件。
印象的な所は「正しい知識があればもしかして」というところです。
現代のように誰しもが手軽に情報を手にできる時代でもない為、起こってしまったのかなというのが個人的な見解です。
では何があったのか。
彼らは熊と遭遇した時、やってはいけないことをやってしまっているのです。
熊の習性が広く伝わっていれば……3人の方が犠牲に
芽室岳からペテガリ岳へ日高山脈を縦走する途中、ワンダーフォーゲル部の部員たちはヒグマに遭遇します。
ヒグマに自分たちの荷物を漁られ、彼らはそれを取り返すという行動に出てしまいました。
ヒグマは非常に執着心が強く、ヒグマからすると「自分の物を奪われた」という風に映ります。
つまり「自分の物を奪った敵」とみなされ、取り返すために付きまとわれるということになるのです。
以下時系列順でこの事件を簡潔にまとめていきます。
7月25日
縦走の中間地点であるカムイエクウチカウシ山にてヒグマに遭遇
自分たちの荷物を漁られ、それを取り返す
同日夜にヒグマが再度現れテントに穴をあける
7月26日
早朝にヒグマが現れテントを倒す
5人の部員のうち2人が救助を呼ぶために下山する
下山中、他の大学のグループに会い救助要請の伝言をし、残した3人を助けるため来た道を戻る
同日昼頃、下山していた2人が合流する
ヒグマに追跡されており、同日夜に1人が襲われて絶命する
部員全員で逃げるも、1人がはぐれてしまう
はぐれた1人は他の大学グループの残したテントで一夜を明かすことに
7月27日
早朝、濃い霧の中で下山しようとするもヒグマがまた現れる
そのまま1人が襲われて死亡する
残りの2人は逃げ延びることに成功し生還した
同日8時ごろはぐれた1人がテント内で襲われ死亡する
「荷物を取り返した」というたったそれだけで、ヒグマ追われることになったこの事件。
近いところに他の人間がいるにも関わらず、特定のグループを執拗に追いかけてるのが分かります。
この事件は防げたんじゃないのかって感じてしまって、すごく心が痛みます。
自然を舐めてはいけない……本当に気を付けてほしい
忘れがちだけど、相手のテリトリーに土足で入ってるのは人間の方なんだよね…… |
これから行楽で山や川などに遊びに行く人も多いのではないでしょうか。
その中で本当に危険な生き物と遭遇する可能性はゼロではないと思います。
最低限どういう生き物がいて、どう対処すればいいのかは調べて損はありません。
また危険なのは動物だけでなく、自然そのものもです。
どんなに浅い川でも溺れる危険性はありますし、滑って頭部を打つこともあるでしょう。
自然に触れることは楽しいけれど、同時に危険も孕んでいるということを忘れないでくださいね。
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